Voxel Highway

Build Logs and Reviews of DIY Mechanical Keyboards and Many Other Gadgets⌨️

KEEB_PD振り返りと屋外キーボード撮影考

この記事はKEEB_PD Advent Calendar 2023の18日目の投稿です。
adventar.org

昨日の記事はtakashicompanyさんの、2023年のKEEB_PDにフル出場した件でした。
毎回の参加もすごいですし、圧巻の情報量の記事でしたね。

2023年のKEEB_PD振り返り

今年のKEEB_PDでは、私riv_mkは2回1位になることができました。
1位になった投稿のみですが、私も自分の投稿の振り返りをしていきたいと思います。
当初記事の仮タイトルを「プラモとゲーム機とキーボード」としていましたが、キーボードとプラモ情景についての考察はまた別の機会に改めて記事にしたいと思います。

#153 Relicキーボード

KEEB_PD 第153回の投稿です。
6月に行った宮古島旅行にキーボードを持っていき、現地の海辺で写真を撮りました。

別のショットも撮っていたのですが、やっぱりキーボードを掲げているものがインパクトが強いかなと判断しました。

#165 Ximiキーボード

こちらはKEEB_PD 第165回の投稿です。
外で撮影できなかったので、とりあえず家の観葉植物と並べて撮影しました。
左右分離型でトラックボール付きのキーボードは最近のトレンドなのか、この投稿は海外の方も結構反応していたと記憶しています。
ブックマーク数も多めなのが興味深いですね。Ximiは日本では作っている人がまだあまりいないので、このキーボードを今回初めて見た人も多かったのかもしれません。

屋外キーボード撮影考

キーボードは本来室内で使用する機器であり、屋外に持ち出し撮影する必然性はありません。しかし、日常的に使用する愛着のあるアイテムを携行することで、旅の思い出にも新しい彩りが増すこともあるかもしれません。
下記の投稿のように気軽に屋外ポートレート写真を撮影して、この時どんなキーボードを作っていたのか、どんなキーボードのカラーテーマを仕事や創作活動のモチベーションと紐づけていたのかを思い出すきっかけにするのも面白いかもしれません。

「かわいい子には旅をさせよ」という諺があるように、お気に入りのキーボードにも旅をさせようというコンセプトの(?) Xのハッシュタグ#旅するキーボード」をご存知でしょうか。下記はゆかりさんの投稿です。こちらのハッシュタグもぜひ見てみてください。

次のKEEB_PD Advent Calendar 2023の記事は、ぎーくらびっとさんです。

鍵盤進化形態学特論:カラーパターンから見る鳥類とキーボードの類似性

この記事は、キーボード #2 Advent Calendar 2019 - Adventarの12/17の参加記事です。

はじめに

地球上に現存する鳥類は10,933種と報告されています*1。鳥の羽毛の色は多様性に富んでおり、カラフルで奇抜な配色パターンの鳥も存在しています。
この記事は、鳥の羽毛色の多様性とキーボードのキーセットの色の組み合わせを無理やり関連づけ、キーキャップのカラーパターンと合致している鳥を紹介する内容となっています。

鳥の色の多様性

鳥類の羽毛はなぜこんなにもカラフルなのでしょうか。鳥類の体色発現システムに関する総説の文献に、以下の記載があります。

鳥類の体色の基礎となる羽色は, 仕組みの異なる2種類の「色」による。 色素による色と, 羽の微細構造が作り出す構造色である。 色素には, メラニン, カロチノイド, ポルフィリンがあり, メラニンには哺乳類と同様に黒~褐色を呈するユーメラニン(eumelanin)と, 赤~薄黄の色彩を呈するフェオメラニン(pheomelanin)とがある。 これらの「色」が単独で, あるいは組み合わされて多彩な羽色が作り出されている。 鳥類は夜行性動物として進化した哺乳類とは比較にならない複雑で変化に富むカラフルな体色をもつ。*2

人類を含む哺乳類では、毛に含まれる色素には黒~褐色を呈するユーメラニン、赤~薄黄の色彩を呈するフェオメラニンしかありません。しかし、鳥類の羽毛にはさらに複数の色素が含まれており、単独またはその組み合わせによってカラフルな色となって現れています。

キーキャップの色の多様性

キーボードのキーキャップはPBT、ABSなどのプラスチックが原料となっています。
キーキャップを製造している会社によってプラスチックの色は様々ありますが、その多くはプラスチックの中に色材を練りこんで着色する「内部着色*3」という製法により発色の良い色になっているようです。

色の多様性がもたらす視覚的コミュニケーション

鳥類の体色発現システムに関する総説から再度引用します。

鳥類は獣脚類恐竜から分岐し, 昼行性動物として明るい太陽の下, 明瞭な色彩の環境の中で進化を遂げた。 その過程で, 脊椎動物の中で最も精巧な色識別視覚システム, 高分解能4色型色覚能を獲得した。 鳥類は環境からの情報収集をその精巧な視覚システムに強く依存している。 種内コミュニケーションもビジュアルコミュニケーションが重要な役割を果たしており, 体色により個体を識別したり, 成長段階, 健康状態, 地位などを判断したりしている。*2

キーキャップのカラーパターンも、その色の組み合わせによってテーマや意味を持ち、鳥類のような視覚的コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしていると考えることもできそうです。キーキャップのカラーパターンが何らかの情報を有する時、マシンと人、あるいは人と人のコミュニケーションが促進され、キーボードは人にとってより身近に感じられるものにシフトしうる可能性を持って、そのカラーパターンの多様性を発展させていると言えるかもしれません。

#keybirbs

Redditのメカニカルキーボードコミュニティでは、スニーカーの配色とキーボードの配色を合わせた写真を投稿する慣習があります。
それを鳥でやってみたのが #keybirbs というTwitterハッシュタグの企画です。

さらに、キーボードと同じカラーパターンの鳥のフィギュアを入手すれば、こんな楽しみ方もできます。


めちゃくちゃ可愛い!

鳥の羽毛の色の多様さを考えると、今後どんなカラースキームのキーセットが新たに登場しても、それに対応するような鳥もいるのではないかという気がしてきます。
キーセットのカラーパターンに合う鳥を見つけたら、ぜひ #keybirbs へのご参加をお待ちしています。

*1:IOC World Bird List Version 12.2 https://www.worldbirdnames.org/new/ (2022/11/3確認)

*2:織部ら, 鳥類におけるメラニンを用いた体色発現システムの分子機構, 比較生理生化学, 2009, 26 巻, 1 号, p. 3-11

*3:プラスチック用着色剤とは|製品情報|トーヨーカラー

自作キーボードとシンセウェイヴ/レトロフューチャリズム

この記事は, 自作キーボードアドベントカレンダー2018 その1の12/21の参加記事です.

はじめに

今回はシンセウェイヴとレトロフューチャリズムの視点から自作キーボードについて少しだけ掘り下げてみたいと思います.

f:id:riv_mk:20181220000726j:plain

自作キーボードのキットやオリジナルキーキャップの中には, 明らかにシンセウェイヴやレトロフューチャリズムの文脈でデザインされたものが存在しています. 例を挙げると, 下記のキーキャップやキーボードキット, コンセプトアートなどです.

Mito's Laser GMK

f:id:riv_mk:20181219235831p:plain https://mitormk.com/s00n/

TheVan Keyboards

https://cdn.shopify.com/s/files/1/1369/4793/products/shopifyLC_1024x.png?v=1540953708

LIGHT CYCLE – TheVan Keyboards

Mito's Laser GMKに関しては, 「とりあえずつけるだけでエンドゲームになってしまう」と言われていたりします.

これらのどこかアナログな雰囲気で1980年代を懐古するようなデザインが自作キーボード界隈で流行っているのはなぜなのでしょうか.

シンセウェイヴとは

シンセウェイヴ (英: Synthwave アウトラン[† 1]、レトロウェイヴ、フューチャーシンセなどと称されることもある[2])は、1980年代の映画音楽やビデオゲームに影響された[5][6]電子音楽のジャンル[1]。2000年代中頃に登場して以来、インターネット上の様々なニッチ・コミュニティで発展していき、2010年代初頭には広く人気を得た[2]。シンセウェイヴは音楽性とアートワークの両面でレトロフューチャリズムを志向しており、1980年代のサイエンス・フィクションやアクション映画、ホラー映画などを模している[7]。サイバーパンクと比較されることもある[7]。1980年代の文化に対する懐古の念を表現しており、その時代の空気感をとらえ、賞賛しようとしている[8]。シンセウェイヴ - Wikipedia

シンセウェイヴは音楽のジャンルなのですが, 昔のビデオゲーム的なアートワークも含めた世界観が自作キーボードと相性がいいんだなと思います.

レトロフューチャリズムとは

1980年代頃から流行しはじめた、「19世紀後期から20世紀中期までの人々が描いた未来像」への懐古趣味や、当時のそういった描写を好み熱中する(現実の未来と比較し、郷愁性を楽しむ)ことを指す。広義で昨今のSF作品の1ジャンルであるスチームパンク(逆に、現代の視点から過去の科学技術をピックアップし、平行世界の過去・現代・架空の先史文明に登場させる手法)を含める場合もある。レトロフューチャー - Wikipedia

カニカルキーボードは, タイプライターの時代からその形状や見た目が大きく変化しているかというと, そうでもないということがこの「レトロフューチャリズム」を具現化しやすくしていると言えるかもしれません. ここ数年の多種多様なメカニカルキースイッチの普及とプリント基板サービスの増加が自作キーボードの自由な開発を後押ししていること, 古いSF映画に登場するようなエッジの効いたキーボード筐体のデザインが今現在でも(むしろ今だからこそ)とても格好良く感じられるということがシンセウェイヴ/レトロフューチャリズムな雰囲気の自作キーボードを作ろうというモチベーションを高めさせてくれているように思います.

"Thicc"さとは何か

Redditのr/mkなどでSAキーキャップや分厚い筐体に対する肯定的なコメントとして「Thicc」(分厚いを意味するThicのスラングのようなもの)を良く目にします. テクノロジーが進歩するにつれ, コンピュータ筐体やパーツはコンパクト化・薄型化され, かつての分厚い可愛らしさが失われてスタイリッシュになっています. 最近ではゲーミングキーボードをはじめ, メカニカルキーボードも薄型化が進んでいます.「Thicc」という言葉には, そのかつての可愛らしさに対する郷愁のような愛着・想いがあるのかもしれません.

明日のアドベントカレンダーは, @pekasoさんです.

この記事はHelix(Aliaz 70g)で書きました.

SQFMI Badgyのレビュー&セットアップガイド

先日, SQFMIのBadgyという電子ペーパーモジュールのプレゼント企画に当選して, Badgyを入手できたのでサンプルスケッチを動かしてみたレビュー記事を書いてみます.

SQFMIって?

SQFMI(Squarofumi)

Squarofumi was founded in 2009, focused on delivering technology products and services. Founded by a group of art and technology enthusiasts, Squarofumi aims to deliver unique experiences and quality products through design engineering and thinking outside the box.

SQFMI(Squarofumi)は2009年に設立されたアメリカと香港に拠点を置く電子工作系の製品・サービスを提供する会社で, アートとテクノロジーにフォーカスした遊び心あふれる製品を手がけているようです.

Badgyとは

https://cdn.tindiemedia.com/images/resize/ufWMDxY6rEmflWSJ3MxyTYMZXp0=/p/full-fit-in/2400x1600/i/29418/products/2018-08-04T15%3A55%3A08.295Z-badgytechnical.jpg BadgyはE-inkティスプレイでWi-Fi接続可能なIoTバッジです. ESP8266 + Arduinoという構成になっていて, リチウムコイン電池 LIR2450で動かすことができます.

入手方法

こちらのサイトから購入できます. www.tindie.com

Badgyを動かしてみる (セットアップガイド)

BadgyをWiFiに接続する

Badgyの中央のボタンを長押しして, WiFiに接続します.

Arduino IDEのセットアップ

BadgyのGithubのSetupの通りにセットアップを行います. 今回Mac OS Mojave, バージョン10.14を使用しています.

Boardの選択

スケッチのコンパイル時に, Tools > Board > NodeMCU 1.0 (ESP-12E Module) を選択しておきます.

ファームウェアのアップロード

1) Sktech -> Export compiled Binary でファームウェアのバイナリファイル(.bin)を生成します.
2) 電源スイッチを上にスライドさせて, 中央のボタンを長押ししながら電源スイッチを下にスライドさせて入れ, BadgyをOTAモードにします.
3) 画面に表示されているローカルIPアドレス http://BADGY_IP_ADDRESS:8888/update にアクセスして, .bin ファイルをアップロードします.
4) Badgyが自動でファームウェアを更新します.

サンプルスケッチをコンパイルしてみたところ, エラーがでて手こずりましたが, どうにかhello.inoというサンプルスケッチを動かすことができました.

あとで手こずっていた箇所の解決策についてツイートしてくれた方もいらっしゃって, とてもありがたかったです. (GxEPDライブラリのバージョンが2.0ではなく, GxEPD 3.0+以降の場合にコンパイルエラーが発生するのですが, このページのそれぞれの箇所を修正することで解決できます.)

Badgyに好きな画像を表示させる

296 x 128 pxの白黒画像を用意し, 下記のサイトにアップロードします. http://javl.github.io/image2cpp/

輝度などを調整し, 2値化された画像を, "Generate Code"でコードに変換します. サンプルスケッチの"hello"のhello.hの箇所に変換したコードを貼り付けて, hello.inoのネームタグ部分 const char* name = "badgy"; を無記名にすると簡単に画像がアップロードできました.

雑感

電子ペーパーのモジュールは持っていなかったので, 画像が表示されるだけでテンションがあがりました.
ネームタグとして, 自作キーボードのイベントなどで今後使用していく予定です. (SQFMIさん, 本当にありがとうございました!Thanks again, SQFMI!)

WiFi接続で色々なデバイスのコントローラとしても使用することができそうなので, Spotifyコントローラなど入力デバイスとしての活用方法をこれから探ってみたいと思います.

SMK "Monterey" AlpsマウントスイッチでコンパクトキーボードAwoozVanを組み立てた話

この記事は, 自作キーボードアドベントカレンダーの12/18の参加記事です.

今回は, Alpsスイッチの亜種のSMK Montereyスイッチとそれ用にデザインされたMiniVan(AwoozVan)という40%キーボードについての話です. この記事をご覧になっている皆様は, Alpsスイッチというものをご存知でしょうか.

Alpsスイッチについて

アルプス電気(ALPS ELECTRIC)は1948年に設立された日本の電子部品メーカーです. *1 各種の電子部品・音響機器を製造しており, キーボード用のスイッチもAlps製の様々な種類のものが存在しています.*2

Alps SKCL/SKCM シリーズ

https://deskthority.net/w/images/thumb/b/be/Alps_SKCL-SKCM.jpg/1597px-Alps_SKCL-SKCM.jpg source: https://deskthority.net/wiki/Alps_SKCL/SKCM_series

AlpsのSKCL/SKCM シリーズは, 1983年初期に製造されはじめたAlps製スイッチです. AppleのDesktop Bus Keyboard*3を始め, 色々なキーボードのスイッチとして採用されていました.*4

SMK Alpsマウントスイッチ

https://deskthority.net/w/images/1/1e/Montereyswitch.jpg source: https://deskthority.net/wiki/SMK_Alps_mount

そんなAlpsスイッチ互換性のあるキースイッチとしてSMK社製のAlpsマウントスイッチ*5が1986年ごろに登場しました.

f:id:riv_mk:20171219061904p:plain source: https://deskthority.net/wiki/SMK_Alps_mount

通称Montereyスイッチと呼ばれるクリッキーな打鍵感の水色の軸のものや, タクタイルな打鍵感の白軸のものがあります.

Alps SKCL/SKCMスイッチとSMK Alpsマウントスイッチのピンの違い

SMK Alpsマウントスイッチのほうは, 左側のピンが上に大きくずれています. そのため, 一般的に出回っている自作キーボードキットのPCB(MX軸とAlps軸スイッチのどちらも付けられるようなもの)ではSMK Alpsマウントスイッチを付けることはできず, 下記の図のように専用のPCBをデザインする必要があります. http://i.imgur.com/DZ328Cf.png

source: https://geekhack.org/index.php?topic=81608.0

f:id:riv_mk:20171219072413j:plain SMK Monterey Alpsマウントスイッチの裏側

TheVan KeyboardsのAwoozVan

f:id:riv_mk:20171219050940j:plain AwoozVanは, TheVan KeyboardsMinivanという40%サイズのコンパクトキーボード用のPCBを, SMKのAlpsマウントスイッチとTai-HaoのAruzスイッチ*6を付けられるように改変したものです.

2017年の2月頃に小規模なGroup BuyがDeskthorityで行われていたようですが, 私は2017年9月に開催されたTokyo Mechanical Keyboard Meetup vol.3のキーボードグッズ抽選会で運良く手に入れることができました.

SMK Montereyスイッチの入手とAwoozVan組み立て

SIIG Minitouchを購入した

キーボードが届いた人「キーボードが届いた!」

もう製造されていないSMK Monterey Alpsマウントスイッチを入手するために, ebayヤフオク, mechmarketをしばらくチェックし, 最終的にmechmarketでSIIG Minitouch*7というキーボードを未使用ストック品の状態でアメリカから郵送費込み$75で購入しました. ebayなどでは中古で$100以上で出品されていることが多いので, 未使用品としてはそれなりに安かったと思います.

f:id:riv_mk:20171219045420j:plain

SIIG Minitouch
「SMKスイッチが使われている」というふれこみのキーボードでも, 製造ロットによっては全然違うスイッチだったりする(メンブレンの場合もあるらしい)ので, 今回SMK Monterey スイッチの情報がきちんと記載されている安全牌の出品を選びました.

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このSIIG Minitouchというキーボードで面白いのは, エンターキーが逆L字型のいわゆる「Bigass Enter」なところです. かなりのBigassっぷり

SIIG Minitouchの分解

f:id:riv_mk:20171219045949j:plain 基板はこんな感じでした. ひたすらはんだ吸い取り器でスイッチを取っていきます.

f:id:riv_mk:20171219050527j:plain

AwoozVanのケースを手に入れた

なんと, TheVan Keyboardsの方が3Dプリントしたオリジナルケースをくれました! SMK Montereyスイッチの軸の色とマッチする水色のケースです.

AwoozVanの組み立て

f:id:riv_mk:20171219051130j:plain こんどはひたすらスイッチをはめていきます.

f:id:riv_mk:20171219051501j:plain スイッチを半田付けして, 次はキーキャップです. まだAlps軸用の別のキーキャップを持っていないので, SIIG Minitouchのキーキャップを流用します.

f:id:riv_mk:20171219052532j:plain キーキャップのサイズが合うものが足りなかったのでバランスが色々おかしいですがとりあえずこんな感じ. Escキーのところには上に飛び出している特殊なキーキャップを付けてみました.

f:id:riv_mk:20171219054120j:plain オシャレ感を演出

SMK Alpsマウントスイッチは, とにかく打鍵感が素晴らしい

AwoozVanキーボードを打鍵してみて, 「クリスピーな打鍵感のAlpsマウントスイッチは至高」という結論に至りました. 正直Alps系スイッチ*8は種類がありすぎてこの記事ではごく一部のことしか書けていませんが, まだまだ面白いスイッチがたくさんありそうです.

次のブログは, @eucalyn_さんです!

この記事はWhite fox(Lubed Zealios 67g)とMacbook Proのキーボードで書きました.

Pro Micro & QMK Firmware のセットアップガイド (Let's Split編)

前回書いた記事「格子配列で左右分離型の超コンパクトなキーボード "Let's Split" を組み立てたよ」の続きです.
今回はPro MicroへのQMKファームウェアの書き込みと, キーマップ, RGB Underglowの設定, シリアル通信(UART)とI2C通信での接続について, 備忘録という感じですが書きました.

Pro Microのタイプ

基板の色が赤い純正品は2500円ほどしますが, 青色の中国製クローンのLeonardoは400〜1000円くらいで手に入ります. AliExpressが安いですが, Amazonでも500円で売っています(2017年4月現在).

Pro Microのブートローダーモードについて

Pro MicroはLet's Split Build Guideの通りにPCBにはんだ付けしています. 今回, 中国製クローンのLeonardo Pro Microを使用しました.

GNDとRSTをショートさせる回数

https://cdn.sparkfun.com/assets/9/c/3/c/4/523a1765757b7f5c6e8b4567.png 純正品(SparkFun製)のチュートリアルに, GNDとRSTを素早く2回ショートさせると, 8秒間書き込み可能なブートローダーモードになると書いてありますが, Arduino Leonardo bootloaderが搭載されているもの(今回使用している中国製クローンなど)の場合は1回のショートでブートローダーモードになります.
※ 初回のファームウェア書き込み時のみ, Leonardo Pro MicroでもSparkFun製と同様に素早く2回ショートさせる必要があるようです. このLeonardo Pro Microの動作については公式のドキュメントのようなものが見つかれば, また詳しく書き足したいと思います. (2017/7/17追記)

リセットボタンの設置

https://i.imgur.com/ge57v63.jpg

毎回はんだごてなどでショートさせるのは面倒なので, リセットボタンとしてタクトスイッチをGNDとRSTにつなげました.

Pro microへのQMK Firmwareの書き込み

Let's SplitのFlashingガイドを参考にしています.

[Mac OSXの場合]

Homebrewでavrdudeをインストール

$ brew install avrdude

QMK Firmwareリポジトリをダウンロードし, Let's Splitディレクトリにオリジナルキーマップを作成
/qmk_firmware-master/keyboards/lets_split/keymaps/ディレクトリに新しい任意のフォルダ"hoge"(適宜自分の好きなキーマップ名を付けて下さい)を作成, keymap.cconfig.hファイルを複製して, keymap.cを編集する

今回, GitHubユーザnicinaboxさんのキーマップを一部改変して使用させて頂きました.

キーマップのビルド
/qmk_firmware-master/ディレクトリで下記のコマンドを実行します.

$ make lets_split:hoge

.hex ファイルが /qmk_firmware-master/.build/ ディレクトリに生成されます.

※ 2017/10/15以降の最新のQMK Firmwareでは, makeの記述形式がハイフンではなくコロンを使用するものに変更になったようです. [参照元] それに伴い当記事も修正しました. (2017/12/10 追記)

キーマップの書き込み方法①

QMKファームウェアでは, 手動でブートローダーモードにする必要なく自動でシリアルポートを見つけてFlashさせることができます.

それぞれのキーボードにキーマップを割り当てる
TRRSケーブルは接続せず, 片方ずつPro MicroをUSB接続します.

$ make lets_split:hoge:avrdude

Reset your Pro Micro nowと出てくるので, リセットボタンを1回押す.

キーマップの書き込み方法②

下記の方法でもキーマップを書き込むことが出来ます.

Pro Microをブートローダーモードにする
GNDとRSTを1回ショートさせて(Leonardo Pro Microの場合), 下記のコマンド

$ ls /dev/tty* 

でシリアルポート一覧に, /dev/tty.usbmodem1411があるのを確認する

それぞれのキーボードにキーマップを割り当てる: rev2
$ make lets_split/rev2:hogelets_split_rev2_hoge.hexファイルを生成しておきます.

$ sudo avrdude -p atmega32u4 -c avr109 -P /dev/tty.usbmodem1411 
-U flash:w:/Users/***/qmk_firmware-master/.build/lets_split_rev2_hoge.hex

(デバイスが見つからないと言われてしまう場合の対処法: *1 )

RGB Underglowの設定

Let's SplitのRGB Underglowガイドを参考にしています.

/qmk_firmware-master/keyboards/lets_split/keymaps/hoge/ディレクトリにMakefileを作成し, 下記を追加します.

RGBLIGHT_ENABLE = yes

config.hに下記を追加します.

#undef RGBLED_NUM
#define RGBLIGHT_ANIMATIONS
#define RGBLED_NUM 10
#define RGBLIGHT_HUE_STEP 10
#define RGBLIGHT_SAT_STEP 17
#define RGBLIGHT_VAL_STEP 17

RGBLED_NUMは左右のLEDの合計数です(今回は10).

keymap.cの[QWERTY_LAYER] のどこかのキーに, MO(UNDERGLOW_LAYER)を割り当てます. [UNDERGLOW_LAYER]を下記のように作成します.

[UNDERGLOW_LAYER] = KEYMAP( \
  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______, \
  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______, \
  _______,  RGB_TOG,  RGB_MOD,  RGB_HUD,  RGB_HUI,  RGB_SAD,  RGB_SAI,  RGB_VAD,  RGB_VAI,  _______,  _______,  _______, \
  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______,  _______ \
),

各種のキーで点滅モード, 色調, 彩度, 明るさを変更できます.

RGBLED_TOGGLE: LED ON/OFF
RGBLED_STEP_MODE: 点滅モードの切替
RGBLED_INCREASE_HUE: 色調の変更(+)
RGBLED_DECREASE_HUE: 色調の変更(-)
RGBLED_INCREASE_SAT: 彩度の変更(+)
RGBLED_DECREASE_SAT: 彩度の変更(-)
RGBLED_INCREASE_VAL: 明るさの調整(+)
RGBLED_DECREASE_VAL: 明るさの調整(-)

シリアル通信(UART)

今回, シリアル通信(UART)で左側のキーボードをMaster, 右側のキーボードをSlaveとして通信していますが, I2Cで接続することもできます.

I2C通信

Let's SplitのPCB(v2)はI2C通信に対応しており, プルアップ抵抗を付けることでI2C通信ができるようになります. (QMKファームウェアのLet's Splitリポジトリに, 回路図があります.)

プルアップ抵抗の設置, I2Cの設定などは下記のBuild Logに載っています.
Let's split v2 build log (with I2C) [photos]

I2Cでは, TRRSケーブルの4つの接続すべてを使用して, シリアル通信(UART)に比べてより高速に2つのキーボードを通信させることができますが, Let's Splitでは速度の差はほとんど認識できないレベルのようです.
また, I2Cにしてしまうと, RGB Underglowができなくなってしまうので注意が必要です.

*1:ArduinoMacアプリからArduino > ツール > シリアルポートでポート番号をチェックして色々再起動するとうまくいくようです(参照元)

Holtite Socketsではんだ付け無しでスイッチの交換し放題なPCBを作ろう

今回のLet’s Splitキーボード製作で, redditのキーボードコミュニティで話題になっていたHoltite Socketsを試してみることにしました. このHoltite SocketをPCBに設置すれば, はんだ付け/はんだ吸い取りをせずにスイッチ(またはLED)を取り付け・交換できる, ホットスワップ*1可能なPCBを作ることができます.

Holtite Socketとは?

View post on imgur.com

ベリリウム銅でできた, 非常に小さな(数mmの)ソケットです. これをPCBのスルーホールに入れて固定し, はんだの代わりに電気を通してもらおうというコンセプトです.

TE Connectivity社で製造されており, 色々なサイズのものが存在しますがキーボードPCB用には下記の2種類のサイズのものがスイッチ用, LED用として使用されています*2.

スイッチ用のHoltite Sockets

全長3.45mm, 適合するスルーホール直径:1.47mm, ピンホール直径:1.07mm

LED用のHoltite Sockets

全長2.39mm, 適合するスルーホール直径:1.04mm, ピンホール直径:0.66mm

日本国内での入手方法

下記のディストリビューターで取り扱っています.

Holtite Socketsの設置方法

この動画がとても分かり易いです.
熱したはんだごてで, PCBのスイッチ/LEDのスルーホールにHoltite Socketを押し込みます. (基本的には, はんだは必要ありません.) 色々なPCBごとにスルーホールのサイズが異なるので, そのサイズによって上手く設置できるかどうかが決まります.

Holtite Sockets互換性があるPCBかどうかの報告リスト

Holtite compatibility

[guide]Hot-swap compatibility table : MechanicalKeyboards

確実にフィットすることが報告されているPCB:
Zeal60, GON PCBs, B.Face/VE.A/WKL PCBs, Leeku PCBs

実際に設置してみた感想

https://i.imgur.com/uju2dlU.jpg

Let’s SplitのPCBはスイッチのスルーホールが大きめでハの字になっている形状だったため, ソケットが緩く熱したはんだごてだけでは設置できませんでした.
そのため, はんだでソケットを接着させたのですが, この方法だとソケットのスリット部分も接着されてしまいソケットの穴が広がらず, スイッチのピンが上手く入らない場合がありスイッチの設置・交換の難易度が高いPCBになってしまいました. はんだ付けの技能が高ければ, この問題は起こらないかもしれません.

今回気づいた良い点・悪い点は下記のようなものでした.

Holtite Socketsの良い点(Pros)

  • スイッチ交換の際のはんだ吸い取り, はんだ付けの手間が省ける
  • ワンタッチで着脱できてとても便利
  • キーボードギーク感が出てかっこいい

Holtite Socketsの悪い点(Cons)

  • スルーホールのメッキ部分(ランド)が剥がれる可能性があり, 取り扱いに注意が必要
  • キーボードの衝撃耐性, 強度が落ちる
  • それなりに高価(1個30〜50円くらい, 1スイッチにつき2つ必要なので, 60個のスイッチを付けられるキーボードの場合は120個で¥3600〜6000ほどかかる)

結論

Holtite Socketsがはんだごてだけで上手くはまることが報告されているタイプのPCBなら, 設置しても良いかもしれません. あと, スイッチの固定の仕方次第ではありますが, キーボードの衝撃耐性, 携帯性とは相反するアイテムかもしれませんね.

今のところ, どうしてもはんだ付け/吸い取りしたくない人向け or 色々なスイッチを気軽にホットスワップして楽しみたい人向けのアイテムで, 問題なく設置できることが証明されているPCB以外での設置はあまりオススメできないという感じです.