自作キーボードとシンセウェイヴ/レトロフューチャリズム
この記事は, 自作キーボードアドベントカレンダー2018 その1の12/21の参加記事です.
はじめに
今回はシンセウェイヴとレトロフューチャリズムの視点から自作キーボードについて少しだけ掘り下げてみたいと思います.
自作キーボードのキットやオリジナルキーキャップの中には, 明らかにシンセウェイヴやレトロフューチャリズムの文脈でデザインされたものが存在しています. 例を挙げると, 下記のキーキャップやキーボードキット, コンセプトアートなどです.
Mito's Laser GMK
TheVan Keyboards
LIGHT CYCLE – TheVan Keyboards
👯♀️ pic.twitter.com/6DCjRMGlja
— TheVan Keyboards (@TheVanKeyboards) September 8, 2018
Mito's Laser GMKに関しては, 「とりあえずつけるだけでエンドゲームになってしまう」と言われていたりします.
GMK LaserのとりあえずつけたらENDGAME感はすごい
— ぷりケツにるぽ (@nillpo) August 7, 2018
これらのどこかアナログな雰囲気で1980年代を懐古するようなデザインが自作キーボード界隈で流行っているのはなぜなのでしょうか.
シンセウェイヴとは
シンセウェイヴ (英: Synthwave アウトラン[† 1]、レトロウェイヴ、フューチャーシンセなどと称されることもある[2])は、1980年代の映画音楽やビデオゲームに影響された[5][6]電子音楽のジャンル[1]。2000年代中頃に登場して以来、インターネット上の様々なニッチ・コミュニティで発展していき、2010年代初頭には広く人気を得た[2]。シンセウェイヴは音楽性とアートワークの両面でレトロフューチャリズムを志向しており、1980年代のサイエンス・フィクションやアクション映画、ホラー映画などを模している[7]。サイバーパンクと比較されることもある[7]。1980年代の文化に対する懐古の念を表現しており、その時代の空気感をとらえ、賞賛しようとしている[8]。シンセウェイヴ - Wikipedia
シンセウェイヴは音楽のジャンルなのですが, 昔のビデオゲーム的なアートワークも含めた世界観が自作キーボードと相性がいいんだなと思います.
レトロフューチャリズムとは
1980年代頃から流行しはじめた、「19世紀後期から20世紀中期までの人々が描いた未来像」への懐古趣味や、当時のそういった描写を好み熱中する(現実の未来と比較し、郷愁性を楽しむ)ことを指す。広義で昨今のSF作品の1ジャンルであるスチームパンク(逆に、現代の視点から過去の科学技術をピックアップし、平行世界の過去・現代・架空の先史文明に登場させる手法)を含める場合もある。レトロフューチャー - Wikipedia
メカニカルキーボードは, タイプライターの時代からその形状や見た目が大きく変化しているかというと, そうでもないということがこの「レトロフューチャリズム」を具現化しやすくしていると言えるかもしれません. ここ数年の多種多様なメカニカルキースイッチの普及とプリント基板サービスの増加が自作キーボードの自由な開発を後押ししていること, 古いSF映画に登場するようなエッジの効いたキーボード筐体のデザインが今現在でも(むしろ今だからこそ)とても格好良く感じられるということがシンセウェイヴ/レトロフューチャリズムな雰囲気の自作キーボードを作ろうというモチベーションを高めさせてくれているように思います.
"Thicc"さとは何か
Redditのr/mkなどでSAキーキャップや分厚い筐体に対する肯定的なコメントとして「Thicc」(分厚いを意味するThicのスラングのようなもの)を良く目にします. テクノロジーが進歩するにつれ, コンピュータ筐体やパーツはコンパクト化・薄型化され, かつての分厚い可愛らしさが失われてスタイリッシュになっています. 最近ではゲーミングキーボードをはじめ, メカニカルキーボードも薄型化が進んでいます.「Thicc」という言葉には, そのかつての可愛らしさに対する郷愁のような愛着・想いがあるのかもしれません.
明日のアドベントカレンダーは, @pekasoさんです.
この記事はHelix(Aliaz 70g)で書きました.